テクノロジー

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他者によって考案された製品をただユーザとして使うだけでなく、エレクトロニクスの知識を習得しそれを応用して、自分が使いものを自分ひとりだけのために作る、ということも行われている。写真はArduinoブレッドボードを使った試作品。

テクノロジー: technology)とは基本的に「特定の分野における知識の実用化[1]」とされたり、「科学的知識を個別領域における実際的目的のために工学的に応用する方法論[2]」とされる、用語・概念である。 そこから派生して「テクノロジー」は、科学的知識をもちいて開発された機械類や道具類を指すこともある[3]。 また、「エンジニアリング応用科学を扱う、知識の一部門」ともされる[3]。 組織的手法、技術といった、より広いテーマを指すこともある。→#定義と用法

概説[編集]

古代ローマ人は、石材の切り出し、石材の加工、木製クレーンの製作、アーチ作り、等々等々、実用的な知識を豊富に持ち、巨大建造物を巧みに建造した。またモルタルやセメント類に関する知識や技術も非常に豊富で、水中硬化性のモルタルすら使いこなし、水を流したまま水を補修することもでき、ローマ市民にとって重要な水道を維持しつづけられた。古代ローマ人が開発し用いた 非常に優れたコンクリート類(やモルタル類)は「ローマン・コンクリート」と呼ばれており、現代の建築家らからも賞賛されている。写真は数ある古代ローマ帝国水道橋のひとつ、ポン・デュ・ガール
グーテンベルクによって圧搾機を応用して印刷機が発明されたことにより、それまで手で一文字一文字行っていた写本の書き写しと比べて、短い時間で大量に文字情報を複製することを可能にし、最初は聖書など神聖で高尚な内容の印刷に用いられたわけだが、印刷機は次第に、文化的な内容だけでなく、あまり文化的とは言えないような 低級な内容を大量に複製し撒き散らすためにも使われるようになっていった。
「テクノロジー」という表現、用語

「technology テクノロジー」という表現は17世紀初期に登場した表現であり[3]、語源はギリシア語technología (τεχνολογία) であり、τέχνη téchnē テクネー(=「わざ」「技巧」)という語と -λογία -logia(=「~論」「~学」)という意味の接尾辞を組み合わせた語である[4]

歴史

人類のテクノロジーは、まずは自然界にあるものを素朴な道具にすることから始まった。先史時代、人類は自然に発生した野の火災や森林火災などで火と遭遇したであろうが、そのを扱う方法を発見した。火の周囲は夜でも明るいという経験的知識を用いて、火を明かり(照明)として用いて 月の出ていない真っ暗闇にも、周囲のものを見ることができるようになった。また火は熱いということを利用し、採集などによって得た食材加熱し、美味しく食べる人が現れたであろう。(近・現代人なら知っているわけだが加熱によって殺菌もできているので、結果として)安全に栄養をとれるようになったであろう(食の安全の確保)。ガラス質を豊富に含む石と石がたまたまぶつかり割れたら鋭い断面ができ、その断面があたったものがたまたま切れたという経験をすればそれが知識となり、今度はその経験知を用いて、意図的に石と石をぶつけて割ることで石器をつくりナイフとして使うようになったであろう。その石器のナイフで、意図的に、とらえたり仕留めた動物の肉を切り分けるのに使うようにもなる。また木の枝の先にその石器のナイフを(植物のなどを用いて)しばりつける、という妙案を思い付く人が現れ、その人がそれを用いて動物を少し離れた位置から傷つけたり仕留めるための道具(=その後に人類が「」と呼ぶことになる道具)として使えば、それを見た人がそれを模倣し広まっていったであろう。槍は動物を狩るためだけでなく、他の人を傷つけるために悪用されたかも知れない。石器は仕留めた動物の皮を肉からきれいに分離する(「皮を剥ぐ」)ためにも使え、やがて、動物の皮はきれいにはげば(そして川などでよく洗浄すれば)身にまとい身体を温かく保つための道具(=後に「衣服」と呼ばれる類のもの)として使えることに気付く人も現れたであろう。植物関連では、自然界に生えている植物の茎などを縦と横に組み合わせることで、まずは素朴な「カゴ」の原型のようなものを作れることに気付き(「織り」の始まり)、さらに植物の茎などを意図的に細かく縦に割いたり、あるいは植物が腐敗してその繊維質が残っているものをひろいあげると、となり、それらを縦横に組み合わせると、(茎をそのまま縦横に組み合わせたカゴ状のものよりも)しなやかなもの(のちに人類が「織物」や「」と呼ぶことになるもの)を作れることに気付く、といった具合である。→#歴史

テクノロジーの効用と害悪

テクノロジーは人間や人間の社会に様々な形で影響を与える。良い影響も、悪い影響も与える。良いとされる影響としては、たとえばテクノロジーは一方で経済発展に貢献するが、他方 経済格差不平等を生みだす。テクノロジーによって、自由な時間が増える人々がいる一方で、むしろ逆に奴隷のように支配され時間をうばわれる人々も出てくる。テクノロジーは、一方で天然資源を人間のためになるように利用する方法を提供する場合もあるが、他方で限られた天然資源を消費(浪費)し、地球とその環境に損害を与え(→環境問題)、公害も引き起こす。印刷機電話インターネットなどのテクノロジーは人と人のコミュニケーションに役立っているので一方で良い影響も及ぼしているが、他方それらは悪用もされ、低俗なものをまき散らしたり、人を言語で攻撃する結果を生んだり、詐欺などの犯罪にも用いられ、人々を苦しめる結果も生んでいる。石、石器のナイフ、木の太い枝、棍棒などといった比較的素朴な道具の段階でも、すでに人を幸福にするためにも使われることもあれば、逆に人を傷つけて苦しめるためにも使われた。狩猟採集社会では、道具の制作に関して高度な分業はなかったので、各人はどの制作にも関わるかわりに、どれも素朴な手作業どまりで、作るといっても小型の槍や弓ばかりが作られていたことが考古学人類学の研究で明らかにされており[5]弓矢などは小型のものばかりで、あくまで小型の動物を得るために使われ、たとえそれらが人に向けられて悪用される場合があったとしても被害は小さく、程度は知れていた。だが、農業(これもテクノロジーのひとつに挙げられることがある)が始まり人類の食料の入手量が増え、小集団ごとに食物(穀物)の備蓄量に露骨な差が生まれ、社会の上下格差が生まれ、うまく食料備蓄ができた集団では食料調達にばかりに時間を割かなくて済む人も一部で現れ、つまり人類の社会で分業が進み始め、社会の中に(農業専従の人も生まれたが)他方 槍や弓矢ばかりを作る人(一種の「専門家」)も現れ、農業社会の槍・弓矢などの専門家がそれらを大型化、高威力化させるようになったと人類学は明らかにしている。狩猟採集社会は、ありのままの自然の恵みを ほぼそのまま受け取り、さまざまな土地を渡り歩いては暮らす生活スタイルで、特定の土地への過度な執着は無かったが、その後に登場した農業社会(農業を営む集団)は土地を自力で開拓する(労力と時間を特定の土地に対して、一種の「先行投資」をしてしまうので)ので、その土地(自力で開拓した農地)を離れるわけにはいかず、そこを死守しようとする結果を生み、一方で農地を護ろうとする人々がいれば、他方で「他人が耕し植物がすでに育っている農地を 力づくで奪ってしまえば、自分の得になる」と考える乱暴な人々も生みだし、槍や弓が人々の(農地を巡る)闘いのための道具、戦争の道具、殺し合いの道具として用いられるようになり、農業社会になったことで、槍や弓が「(動物の)狩りの道具」としてよりもむしろ「戦争の道具」として使われる割合のほうが増えた、と人類学は明らかにしている。その後火薬なども登場し、さらに核兵器へとその破壊力を増す方向、大量殺戮の道具を生みだす方向でテクノロジーは歩んできた歴史があり、結果として無数の加害者と、無数の悲惨な被害者を生んできた。

テクノロジーは社会における価値観にも影響を与え、新たなテクノロジーは新たな倫理的問題を生じさせる。テクノロジーは人間性を向上させる結果を生むのか、逆に人間性を低下させる結果を生み人間を苦しめてしまうものなのか、議論は尽きない。

また efficiency(効率)という概念は本来、機械に適用されるものだったが、人間のefficiency効率性(生産性)をも意味するようになってきた。

テクノロジーのもたらす害悪・危険について、様々な議論が行われている。古くはネオ・ラッダイトアナキズムなどの運動は哲学的に、現代社会におけるテクノロジーの普遍性を批判し、それが環境を破壊し、人々を疎外する(=人間を支配し、人間の本質を失わせる)としたし、それ以降も、様々な人々からもしばしば批判されており、現在でも、現実的な視点から、全世界で反原子力運動は行われている。一方、トランスヒューマニズムなどの支持者は、テクノロジーの継続的進歩が社会や人間性にとって有益だと主張する。アインシュタインは「科学技術の進歩というのは、病的犯罪者の手の中にあるのようなものだ」[6]と述べた[7]

ところで、最近までテクノロジーの開発は人類のみが行えることだと信じられていたが、他の霊長類や一部のイルカが単純な道具を作り、次の世代へとその知識を伝えていることが最近の研究で分かってきた。

定義と用法[編集]

Merriam-Webster の辞書には、「特定の分野における知識の実用化」であり「知識の実用化によってもたらされる能力」と定義されている[4]アーシュラ・フランクリンは1989年の講演 "Real World of Technology" において、テクノロジーの新たな定義として「慣例、我々が物事を行うやり方」としている[8]

哲学者ベルナール・スティグレールは『技術と時間1:エピメテウスの過ち』の中でテクノロジーを「生物以外の手段による生物の追跡」および「組織化された無生物質」と定義している[9]。そのようなものとして、テクノロジーの出現によって歴史に於ける存在外面化の瞬間が物語られる。これらの言葉に於けるテクノロジーの意味を系統立てて説明する際に、スティグレールはアンドレ・ルロワ=グーランジルベール・シモンドンの著作に基づいている。ヒトにとってこのことは、可能性として親から道具の使い方を学ぶということだけ指すわけではなく、概して過去は物体や遺跡に記されるのだということも意味した。

テクノロジーは、元々、実用的な目的のために知識を応用すること、その方法論、そのための体系的な手法などだが、「テクノロジー」はそれによって作り出された機械や道具も指す。この場合「テクノロジー」は、実世界の問題を解決するための機械や道具を指すことになる。具体的には、簡単なものではバールや木製スプーンのような単純な道具から、複雑なものでは宇宙ステーション加速器のような複雑な機械までも指すことになる。

なお「テクノロジー」という表現で指される道具や機械は物質的なものだけとは限らない。コンピュータソフトウェアビジネス手法といったものも、この意味でのテクノロジーの一種である[10]

Oxford Dictionary の説明にあるように「テクノロジー」という用語は、エンジニアリング応用科学に関する知識部門も指す。別の言い方をすれば、技術や技巧の集合を指す、ということにもなろう。この場合、「テクノロジー」とは、人類の持つ様々な知識のうちで特に、資源を組み合わせて望みのものを作る方法、問題解決法、必要性を満たす方法などといった知識を指し、技法・技能・技術・製造法、そしてそれによって作り出された道具・原料などまでも指すことがあるわけである。英語では、"medical technology"、"space technology" などと、他の単語と組み合わせて使うことがあるが、この場合はその分野の知識やツール全般を指す。

なお、「先端テクノロジー」は、ハイテクを意味する。

テクノロジーは文化を生み出す活動、あるいは文化を変化させる活動と見ることもできる[11]

最近の例としては、コミュニケーションテクノロジーの進歩によって人々の間の障壁が弱まり、インターネットコンピュータの発展の結果として新たなサブカルチャーであるサイバーカルチャーが生まれた[12]。ただし、全てのテクノロジーが明確な形で文化を発展させるわけではない。テクノロジーは兵器などの道具の形で、政治的弾圧戦争を容易にしてしまうこともある。

科学と工学とテクノロジー[編集]

科学工学、テクノロジーの区別は明確ではない。科学現象理性的に調査研究し、科学的方法などの定式化された技法を使って、持続性のある原理を発見しようとする[13]。テクノロジーは効用ユーザビリティ安全性といった面も考慮する必要があるため、単なる科学の応用ではない。

工学は、自然現象を人間に役立つ形で利用して道具やシステムを設計することを目的としており、科学の成果や技法を使うことも多い。実用的成果を達成するテクノロジーの開発には、科学、工学、数学言語歴史など様々な分野の知識を必要とする。

テクノロジーは科学と工学の成果とよく言われるが、逆に人間の活動としてのテクノロジーがその2つの分野に先行して存在するとも言える。科学は既存の道具や知識を使い、例えば、電気伝導体における電子の流れを研究する。そうして新たに得られた知識を工学に応用して新たな道具や機械(例えば半導体部品やコンピュータ)、他の進んだテクノロジーの形態を生み出す。そういう意味で、科学者や工学者を合わせて科学技術者 (technologist) ともいう。

科学とテクノロジーの正確な関係は、20世紀後半の科学者、歴史学者、政治家の議論の的にもなった。その背景には研究資金を基礎科学と応用科学にどう分配するかという問題がある。第二次世界大戦中のアメリカ合衆国では、テクノロジーと「応用科学」は同義と見なされ、基礎科学への資金投入はそれなりの期間を経てテクノロジー的成果につながると考えられていた。このような見方はヴァネヴァー・ブッシュが戦後の科学政策について書いた論文 Science—The Endless Frontier に明確に示されている。しかし1960年代後半になるとこの見方は直接的打撃を受ける。この問題は今も議論が続いているが、テクノロジーが科学研究の成果であるという単純なモデルには反対の立場のアナリストが多い[14][15]

歴史[編集]

旧石器時代(250万年前から紀元前1万年)[編集]

原始的な礫器

初期の人類による道具の使用は、部分的には発見の歴史であり、部分的には進化の歴史である。初期の人類は、既に二足歩行していた猿人一種から進化したものであり[16]、現代の人間に比べると脳の容量は3分の1だった[17]。初期の人類の長い歴史上、道具の使用にはほとんど変化がなかったが、約5万年前に行動の複雑化と道具の使用が組み合わさり、現代的な意味での言語が生まれたと考古学者の多くが考えている[18]

石器[編集]

前期旧石器時代のハンドアックス

約20万年前のホモ・サピエンスの誕生以前から、人類の祖先は石器などの道具を使っていた[19]。最も古い製法の石器オルドワン石器と呼ばれ、約230万年前に遡ると言われている[20]。そのような石器の痕跡で最も古いものはエチオピア大地溝帯で見つかったもので、約250万年前に遡る[21]。このような石器を使用していた時代を旧石器時代と呼び、農耕が始まる12,000年前までの長い期間を指している。

石器の製法は、燧石などの剥げ落ちやすい性質のある硬い石の「石核」を石鎚で打って作った。これにより剥片にも石核にも鋭い縁ができ、主に礫器または削器といった形の道具として使用した。当時の人類は狩猟採集生活を送っており、獲物を屠殺したり、木を切ったり、木の実を割ったり、動物の毛皮を剥いだり、骨や木といったもっと柔らかい素材から道具を作るといった用途に適した石器が作られた[22]

最初期の石器は非常に素朴なもので、自然に割れた石と大差なかった。約165万年前ごろから石器を特定の形にするようになり、握斧などが生まれた。約30万年前に始まった中期旧石器時代には、典型的な形状の石核から様々な形状の石器を作る技法が確立し(en)、一つの石核から複数の石刃を短時間のうちに製造できるようになった。約4万年前に始まった後期旧石器時代には、押圧剥離という技法が生まれ、木や骨やシカの角を押し当てて微細な石片を形成するようになった[23]

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様々な用途がある単純なエネルギー源としてのの発見と利用は、人類のテクノロジーの発展にとってターニングポイントであった[24]。いつ発見したのかは定かではない。「人類のゆりかご」で動物の骨を焼いた痕跡が見つかっていることから、100万年前より古くから火を日常的に使うようになっていたと言われている[25]。学界では、ホモ・エレクトスが50万年前から40万年前に火を制御できるようになったというのが定説である[26][27]。燃料には木やを使い、食料に熱を通すことで消化をよくし、栄養価を高め、食べられるものの種類も増えた[28]

被服と住居[編集]

その他の旧石器時代のテクノロジーの進歩としては、被服住居がある。どちらも正確な年代は不明だが、人間性の進化にとっては重要である。旧石器時代の進展と共に、住居も徐々に進化していった。38万年前ごろから、人類は一時的な木製の小屋を建てるようになった[29][30]。被服としては、獲物の動物から剥いだ毛皮を使うことで、より寒冷な地域にも進出が可能になった。人類は20万年前ごろからアフリカ以外の地域への移住を開始し、ユーラシア大陸などに広まっていった[31]

新石器時代から古代(紀元前1万年から紀元300年)[編集]

腕輪、斧、ノミ、研磨用具などの新石器時代の遺物

人類のテクノロジーは、新石器時代と呼ばれる時代から急激に進化し始めた。刃の部分を磨いた石斧の発明により、森林を大規模に切り拓くことができるようになり、農場を作ることができるようになった。農耕により、より多数の人口を養えるようになり、定住生活が広まっていった。定住していなかったころには子供を運ぶ必要があることから、子供を連続で産むことができなかったが、定住することで子供を同時に育てることが可能になった。さらに、子供は狩猟採集生活をしていたころよりも幼いころから労働が可能となり、収穫高の増加に寄与した[32][33]

人口の増加と労働力の増加により、仕事の専門化が始まった[34]。メソポタミアのウルクのような都市が発生したきっかけや、シュメールのような文明が生まれたきっかけは定かではない。しかし、社会階層が増え、仕事が分化していき、隣接する文化との交易や戦争が起き、治水などの問題に対処するために団結が必要になったなど、様々な要因があると言われている[35]

金属器[編集]

テクノロジーの進展により、ふいごが生まれ、天然金属(自然界に純度の高い状態で存在する金属)の精錬鍛造が可能となった[36]。最初に使われたのはである。銅器はそれまでの石や製の道具よりも優れていることは明らかで、銅は新石器時代の当初(紀元前8000年ごろ)から使われ始めた[37]自然銅は自然界には少ないが、銅鉱石は多く存在し、その一部は木やで起こした火で熱することで容易に金属を取り出すことができる。そのようにして金属をあつかっているうちに、青銅真鍮などの合金を発見することになった(紀元前4000年ごろ)。などの鉄合金が使われるようになるのは紀元前1400年ごろからである。

エネルギーと輸送手段[編集]

帆船 ドーニー大三角帆は古代から用いられていた帆の形。

同じ頃、人類は新たな形態のエネルギーの利用法を学びつつあった。の力はまず舟の帆で利用され始めた。記録に残っている世界初の帆船は、紀元前3200年ごろのエジプトのものである[要出典]。先史時代からエジプト人は毎年洪水を起こす「ナイル川の力」を利用しており、灌漑水路を築いて溢れた水を盆地に導くことで灌漑用水を確保する方法を学んでいった。同様にメソポタミアのシュメール人もチグリス川とユーフラテス川について同様の利用方法を学んでいった。しかし、水力風力をさらに有効利用するには、もう1つの発明が必要だった。

車輪は紀元前4000年ごろの発明と言われている。
世界最初の飛行機(ライトフライヤー)

考古学者によれば、車輪の発明は紀元前4000年ごろとされている。車輪はおそらく、メソポタミアで発明されたと言われている。時期は紀元前5500年から3000年まで様々な説があるが、紀元前4000年ごろとする専門家が多い。車輪を使った荷車が描かれた人工物として最も古いものは紀元前3000年ごろのものである。しかし、そのような絵が描かれる千年前から、車輪を使った輸送手段が存在していただろうと言われている。また、同時代にろくろとして車輪を使っていた証拠も残っている。なお、元々のろくろは車輪を使ったものではなく、地面に突き立てた棒の上に真ん中に窪みか穴のある平らな板を載せただけのものだった。近年、スロベニアリュブリャナの湿地で世界最古の木製の車輪が発見された[38]

車輪の発明は、輸送、戦争、陶工(最初の車輪の用途と言われている)といった様々な活動に革命をもたらした。車輪を使った荷車は重い物を運ぶのに使われ、ろくろは陶器の大量生産を可能にした。さらに、車輪は風車水車といった新たなエネルギー変換手段を生み出し、人力以外の動力の応用という革命をもたらした。

13世紀に作られた機械式時計en:Zytglogge(スイス、ベルン)。

紀元300年以降[編集]

道具には、単純な機械(てこねじ滑車など)と、より複雑な機械(時計エンジン発電機電動機コンピュータ宇宙ステーションなど)の両方を含む。道具が複雑になると、それをサポートするのに必要な知識も複雑になる。現代の複雑な機械には、継続的に増大し洗練されていく技術マニュアル群が必要であり、設計者、製作者、保守者、利用者には専用の訓練が必要とされることが多い。さらに、そのような道具は非常に複雑であるため、技術的知識に基づくより小さな道具、プロセス、(それ自体が複雑な道具である)プラクティスの包括的基盤がそのような道具をサポートする形で存在している。それは例えば、工学であり、医療であり、計算機科学である。複雑な製造建設の技法と組織は、そのような道具の構築に必要となる。産業全体が、より複雑な道具を次々に開発しサポートしていくために発展してきた。

テクノロジーと社会は強く相互に依存している。この相乗的関係は人類の黎明期に単純な道具を発明したときに始まり、今日も続いていると言われている。テクノロジーは歴史上、社会の様々な面、すなわち経済、価値観、倫理観、学界、集団、環境、政府などに影響し、影響されてきた。

問題点[編集]

排煙が大気汚染を引き起こしている。(→公害環境破壊
原子爆弾。写真は長崎原爆のキノコ雲
1945年8月9日
広島原爆の被害者。(1945年10月。日本赤十字病院)
チェルノブイリ原子力発電所事故後、建屋をコンクリートで固めた通称「石棺」

テクノロジーは自然破壊環境破壊を引き起こすことがある。 第二次世界大戦中に開発された原子爆弾は、その威力が通常兵器と比べて極端に大きく、人間を無差別かつ大量に殺戮する大量破壊兵器である。冷戦時代にも西側・東側の両陣営は大量の核兵器を保有し、米国ソ連の元首の判断次第でボタンひとつを押させ核戦争が勃発すれば、結果として人類がほぼ全滅する、と専門家らが予想するほどの状態にまでなった。

ウクライナ国立チェルノブイリ博物館に展示されている、事故で拡散した放射性物質の影響で奇形になった豚の子

原子力発電所では安全性を確保しきることができず原子力事故を何度も引き起こした。放射線により人々の生命を奪ったり、放射性物質を拡散させてしまい遠方の人々の健康にまで悪影響をもたらすことになった。

テクノロジーと哲学[編集]

技術主義[編集]

technicism技術主義あるいは技術崇拝)とは、“人類はいつの日か全ての問題を解き明かし、テクノロジーを使って未来を制御できるようになる”などとする主張や考え方のことである[40]

楽観論[編集]

テクノロジーの進歩が社会や人間性にとって有益だという楽観的な仮定をする者として、トランスヒューマニズム技術的特異点信奉者がいる。このようなイデオロギーでは、テクノロジーの進歩は道徳的にも肯定される。逆に批判的な者はこれらを科学万能主義やテクノユートピア主義の例とし、彼らが望む人間強化技術的特異点に懸念を表明している。

テクノロジー楽観主義者の例としてカール・マルクスが挙げられることもある[41]

悲観論[編集]

逆にテクノロジーが進歩した社会には本質的に問題があるという悲観的見方をする者として、ヘルベルト・マルクーゼジョン・ザーザンがいる。彼らは、そのような社会が技術的であるために、結果的に自由精神的健全さを犠牲にするだろうと示唆した。

哲学者マルティン・ハイデッガーも、テクノロジーに対して真剣な懸念を持っていた。ハイデッガーは "The Question Concerning Technology" の中で「したがって、我々が単にテクノロジーを生み出し発展させる限り、テクノロジーの本質との関係を我々が経験することはなく、我慢することも回避することもない。我々はあらゆる場所でテクノロジーにつながれ、自由を奪われている。それは、我々がテクノロジーを熱望するか拒否するかとは無関係である」と書いている[42]

ハイデガーの技術論としばしば比較されるのが、フランスのプロテスタント思想家、ジャック・エリュールの技術社会論である。技術の「自律性」を主題とするエリュールの技術社会論は、技術決定論の典型としばしば見なされ、現代社会を抜け道のない「鉄の檻」として誤って描き出したとして批判されてきた。

テクノロジーへの最も痛烈な批判としては、今ではディストピア文学の古典とされているオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』、アンソニー・バージェスの『時計じかけのオレンジ』、ジョージ・オーウェルの『1984年』などがある。また、ゲーテの『ファウスト』ではファウスト博士が悪魔に魂を売って物理世界を超越した力を得るが、これはテクノロジーによる工業化の進展の比喩と解釈されることがある。

1980~90年代の反テクノロジー的論文のひとつとして、セオドア・カジンスキーユナボマー)の Industrial Society and Its Future を挙げることも可能であろう。彼の起こした爆破事件をやめさせるため、この論文が複数の主要な新聞に掲載され、後には本にも収録された。カジンスキーは、エリュールの技術社会批判から少なからぬ影響を受けたと言われている。

核兵器の開発・保有・使用がもたらす危険性は世界中で危惧されている。現在、核兵器全般に、包括的核実験禁止条約核不拡散条約などで規制されている。核廃絶を求める人々は多い。

また、原子力技術の領域では十分な安全性を確保しきれていない状態であるという事実を踏まえて、ヨーロッパではドイツなどで原子力発電のテクノロジーには反対する人々が多い。ドイツでは原子力発電所の全廃を実施、ベルギーでも議会ですでに全廃法案を可決し、その実施が進んでいる。こうした運動を反原子力運動とも言う。

最近の議論として、コンピューター・通信・バイオテクノロジーなどの急速な進展とは裏腹に、エネルギーや宇宙開発などの技術は長期間停滞しており、それが経済に影響しているという説もある。

適正技術[編集]

20世紀にはジャック・エリュールらにより、適正技術 (appropriate technology) という考え方が出てきた。これは例えば、文明が及んでいない僻地では修理が困難な最先端のテクノロジーを持ち込むのは不適切だとする考え方である。エコビレッジの考え方もこれに関連して生まれた。

人類以外のテクノロジー[編集]

ゴリラが木の枝を水深を調べるのに使っている。
Credit: Public Library of Science

初歩的なテクノロジーは人類以外の動物でも見られる。例えばチンパンジーなどの霊長類やイルカ[43][44]カラスなどである[45][46]。テクノロジーをより広い意味で捉え、能動的に環境を調整し制御しようとする動物の行動も含めると、ビーバーの作るダムやミツバチの巣なども含まれる。

従来、道具を作って利用する能力は、ヒト属に固有のものと考えられていた[47]。しかし、チンパンジーなどの霊長類が道具を作る例が見つかり、テクノロジーは人類固有のものではないことが明らかとなった。例えば、野生のチンパンジーが道具を使って食料を探す様子が研究者によって観察されている[48]。西アフリカのチンパンジーは石をハンマー金床のように使って木の実を割っており[49]ブラジルオマキザルも同様の行動を見せる[50]

脚注[編集]

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  1. ^ Merriam-Webster
  2. ^ デジタル大辞泉
  3. ^ a b c Oxford Dictionaries 「technology」
  4. ^ a b Definition of technology”. Merriam-Webster. 2012年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年2月16日閲覧。
  5. ^ 狩猟採集社会の人類の小集団は、男は全員で狩猟に参加し(待ち伏せ役、追い立て役などに分かれ)得た獲物は、直接仕留めた人のものではなく、追い立て役の人にも待ち伏せ役の人にも平等に権利があり、そのメンバー全員で獲物の肉を平等に分けるというルールを持っていた、と(現代でも秘境にほそぼそと残り狩猟採集社会を保っている部族の研究などによって)人類学は明らかにしている。そして狩りの道具の制作も、全員が行った。そのかわり、どの作業も素人的で、素朴な道具しか作れなかった、と考古学や人類学は明らかにしている。
  6. ^ Technological progress is like an axe in the hands of a pathological criminal.
  7. ^ http://www.brainyquote.com/quotes/quotes/a/alberteins164554.html
  8. ^ Franklin, Ursula. “Real World of Technology”. House of Anansi Press. 2007年2月13日閲覧。
  9. ^ Stiegler, Bernard (1998). Technics and Time, 1: The Fault of Epimetheus. Stanford University Press. pp. 17, 82. ISBN 0-8047-3041-5. 
  10. ^ Industry, Technology and the Global Marketplace: International Patenting Trends in Two New Technology Areas”. Science and Engineering Indicators 2002. National Science Foundation. 2015年8月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年5月7日閲覧。
  11. ^ Borgmann, Albert (2006). “Technology as a Cultural Force: For Alena and Griffin” (fee required). The Canadian Journal of Sociology 31 (3): 351–360. doi:10.1353/cjs.2006.0050. http://muse.jhu.edu/login?uri=/journals/canadian_journal_of_sociology/v031/31.3borgmann.html 2007年2月16日閲覧。. 
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参考文献[編集]

関連項目[編集]

20世紀に研究が行われていた人工知能は、数度の段階を経て進展を見せ、最近では人の音声を理解し、即座に知識を集め、質問に対する答えを音声で提供したり、まるで召使(や執事)のように持ち主の希望に沿うように家電製品のスイッチを操作することもできるようになった。(写真は2010年代末時点でシェアの比較的高いスマートスピーカー 2種 )。人工知能はこのまま性能が上がりつづければ、しばらくするうちにシンギュラリティ(技術的特異点)をもたらすことになるだろう、と予測する論者も多い。

外部リンク[編集]